アーティストに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
アジカン後藤が「どうやって早く安倍政権を終わらせるかを考えている」と…桑田圭祐とは違う本気度
「Rolling Stone日本版」(セブン&アイ出版)2015年7月号
戦争のできる国づくりをめざして、今国会では強引に安保法制を成立させようとしている安倍政権。こうした動きに危機感を覚え、最近は、安倍批判や護憲発言をする芸能人や作家、アーティストが少しずつ増えてきている。
途中で腰砕けになったものの、紅白で政権を揶揄するパフォーマンスを見せたサザンオールスターズ・桑田佳祐、ラジオで「安倍はバカ」発言をした爆笑問題の太田光、作家では『宰相A』(新潮社)で積極的平和主義の本質を暴露した田中慎弥、「戦前、戦中のような時代がやってくる」と警告を発した中村文則、さらには「安倍首相の右翼的な動きが恐ろしい」と発言した蛭子能収など……。
そんななかでも、かなり踏み込んだ安倍批判を繰り広げるミュージシャンがいる。先日、最新アルバム『Wonder Future』を発売したばかりのASIAN KUNG-FU GENERATION、略してアジカンの後藤正文である。
「Rolling Stone日本版」(セブン&アイ出版)2015年7月号の彼のソロインタビューで、インタビュアーによる、「今、どんなことにピンと来ていますか?」といった質問に対し、後藤はこんな発言をしたのだ。
「どうやったら早く安倍政権が終わるかっていうことを考えていますね」
そして、「最悪のタイミングで、最悪の人が総理大臣になっていると思います」と、安倍のことを一刀両断。
後藤は昨年9月のイベントでも、ステージ上で「クソ安倍」と叫び、話題となったことがあるが、その危機感と怒りを持ち続けていたようだ。
しかし、後藤は、サザン桑田のように、ミュージシャン的なノリでこのような言葉を発したわけではなさそうだ。彼のなかには、安倍批判だけでなく、その政治手法への危機感、安倍を支持する社会の空気への問題意識がある。同インタビューの中で、彼はこんな発言をしている。
「世の中の一般的な人たちって、大きな変革がものすごく好きなの。破滅願望と似ていて、『何か起きねぇかな』みたいな想いの裏返しですよね。すごいリーダーが現れて、俺たちの社会をバラ色にしてくれるんじゃないかっていうような。そういう願望が、安倍(晋三)さんとか橋下(徹)さんみたいな人の登場を担保しているわけなんですよ。だけど、みんなの願望と実情が上手く噛み合うことはない。だから、大きな破局みたいな変革があったら困るんだけども、そういうのを俺たちが内心期待しちゃっているところが、現状を呼び込んでいて」
「同時に“強いリーダーみたいな人は、やっぱりいないんだな”って思いもあって。あとは時間的な辛抱のなさとかが、その次のもっと深い無関心を呼び込んでしまっている」
救世主のような強いリーダーを求める一方、すぐに結果を出せなければ世論は手の平返しで批判を強める。そして、その次には、政治不信・政治への無関心が国民の間に広がっていく。まさに、投票率が下がり続けている今の日本の状況だ。
また、社会システムの改革には、ゆっくりと丁寧な議論が必要である。しかし、今は大事な改革案にも関わらず、あまりにも拙速に事が進んでいる。
「性急な変革みたいなことは、あんまりないほうがいいと思ってる。社会のシステムっていうのは、ベストな形がなくて、常にベターと思わしきものを選んでいくしかないでしょ。何がベターかは人によって違うから、ぶつかり合うわけで。どのへんがいちばん良さそうなのかは、調整し続けなきゃいけないわけですよね。もちろん直すべきところは山積みでしょうけど」
「そういう改革はいつでも、常にあるべきですよね。そのために、政治家は議論を続けているわけで。だけど、社会のシステムがガラッと変わるような変化が起きてしまうと、不安定になる人がたくさん現れますよね」
丁寧な対話と議論を重んじる後藤の考えは、現政権よりもよっぽど“大人”ではないだろうか? ロックミュージシャンよりも、内閣総理大臣のほうがはるかに“サーチ&デストロイ!”な思想をもっているという2015年の日本は恐ろしいばかりだ。
そして、彼は“格差社会”についても語っていく。後藤自身、ロスジェネ世代であり、かつて「さよならロストジェネレイション」という楽曲も発表しているが、そんな彼にとって格差問題は常に考えるべきテーマであり続けている。
「生まれながらにしてチャンスが不平等だということに関しては憤ってる。金持ちの家のヤツだけが高等な教育を受けられるなんて、不平等だよ。金がなくて高校に行けない子たちがいるんだよ。そういうのを解消するのが政治の役割じゃないの?」
「たった数パーセントのヤツらが社会的な富を寡占するのが、本当に正しい競争かよ?とは思う。そんなに金を持ってたって、『そこまで美味いもん、もうないだろ』って(笑)」
「みんな、同じ給料にしようとか言ってるわけじゃないよ。儲かっているヤツは社会に奉仕する義務があるんじゃないか?っていうだけで。大きな資産を持っていたり、突出した才能を世の中に認められている人間は、世の中に還元していかないといけないと思うんだよね」
後藤の主張しているこの考えは、“ノブレス・オブリージュ”と呼ばれ、欧米では当然の感覚。富裕層によるチャリティ活動や寄付などが多いのは、この考えからくるものである。
彼自身、ささやかながらこの考えを実践している。毎年、「NANO-MUGEN FES.」という音楽フェスを主催し、周囲のミュージシャンを自分たちのファンに紹介するのも音楽業界を底上げするための試みだし、「THE FUTURE TIMES」という無料配布の新聞をつくり、社会問題についての啓蒙活動を行っているのも、まさしくその一環だ。
ここまで紹介してきたように、単なるパフォーマンスではなく、深刻な危機感から社会的発言を行っている後藤だが、インタビュー中で彼自身「『アジカンのメガネがうるせぇこと言ってるな』で終わってしまうから」と自嘲している通り、このような芸能人・文化人の発言には「大した知識もないくせに」といった批判が飛び交う。
後藤正文もまさにそのひとり。彼がなにかを発信するたびに、ネットを中心に批判が飛び交っている。
だが、彼らのような芸能人・文化人が自らの主張を発信することの何がいけないのだろうか? 歴史を振り返れば、ボブ・ディランやジョン・レノンのメッセージがベトナム反戦運動を大きなうねりにしたし、サム・クックやマーヴィン・ゲイの歌なしでは公民権運動は成功しなかっただろう。
そういった力を信じ、批判を覚悟で自らの意見を主張する後藤正文を、当サイトは断固支持したい。そして、彼の音楽を聴く若い世代が、彼の言葉にも耳を傾け、政治について、社会について考えるきっかけになることを切に願っている。
(新田 樹)
最終更新:2015.06.19 11:42
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
公選法違反疑惑浮上の斎藤知事「SNS戦略の企画立案は依頼していない」の言い訳は通用するか? 削除されたPR会社社長の投稿を検証
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
石破茂が史上最速で馬脚あらわに! 手のひら返し解散、統一教会も裏金も再調査せず、菅・麻生以外の人事も酷い
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
公選法違反疑惑浮上の斎藤知事「SNS戦略の企画立案は依頼していない」の言い訳は通用するか? 削除されたPR会社社長の投稿を検証
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
兵庫・斎藤知事の「パワハラ告発職員」追いつめに維新県議が協力していた! 職員は吉村知事肝いり「阪神優勝パレード」めぐる疑惑も告発
“既成政党に与しない”石丸伸二の選対本部長は「自民党政経塾」塾長代行! 応援団筆頭に統一教会系番組キャスターの元自民党職員も
小池百合子が都幹部だけでなく“最側近”を天下りさせていた!「大日本帝国憲法復活」「国民主権を放棄せよ」の請願に関与の元特別秘書
大阪万博建設現場のメタンガスが急増し1日2tも発生! 3月の爆発事故では「通報遅れ」「天井破損」を隠蔽していたことが発覚
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
都知事候補討論会ですっとぼけるも…小池百合子に清和会時代、裏金を受け取っていた可能性が浮上! 派閥上納額は安倍を超える120万円
裏金裁判で安倍派幹部たちの嘘が明らかに! 抜け穴だらけの政治資金規正法改悪で幕引き図ろうとする自民・岸田政権
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書
話題のキーワード