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本人は「ウヨじゃない」というが…吉本芸人「ほんこん」のサムすぎるネトウヨぶり! 安倍応援団化は売れない芸人の再生装置か
自身のYouTubeチャンネルで「桜を見る会」を扱った「ほんこん」
本サイトで日々お伝えしているように、吉本芸人の“安倍応援団化”や“ネトウヨコメンテーター化”がどんどん進行しているなか、「ネトウヨ芸人」として注目されている人物がいる。お笑いコンビ130Rのほんこんだ。関西では数年前から情報番組で安倍応援団丸出しのコメントを連発。時折、話題になっていたが、今年はyoutubeや活字にも進出。正真正銘の「ネトウヨ芸人」になってしまったようだ。
Twitterでは百田尚樹や有本香氏、高須克弥院長といった極右文化人、あるいはネトウヨアカウントやネトウヨまとめサイトの投稿をリツイートしまくり、少し前には「ほんこんのなに聞きたい?」なるYouTubeのチャンネルも開設。バーを舞台にしてネトウヨ受けする発言を繰り返している。最近も「桜を見る会」問題を扱って、こんなことを語っていた。
「僕ねえ、これねえ、なにをしてんのかな〜とか思うねん。政治家たるもの、うん、国策をしなさいよ。桜見るのもええし、ええけども、ちゃんと政策で議論したらええのに、国会でこういうことを。1日国会でかかんのにね3億って聞くもんね。これ、金額で言うたら5000万いうけど、5000万も税金やからダメなんですけど、みんな、よう聞いてくれよ、安倍総理を擁護なんかしてないで。してないねんけど、してるようになぜ見えるかというたら、申し訳ないけど、野党が安倍総理を擁護してんねん。サポーターやて。野党がちゃんとこういう桜を見る会も追及すんねんやったら追及したらええけど、国会でせんとちゃうとこでして。ほんで野党の支持率をあげるのは、やっぱりGSOMIAを継続ってなったやん、破棄かどうかって言ってたときに、それでもコレやってたりとか、ウン、北朝鮮がミサイル撃ってんのにコレやってるとか、もう違うねん。シュレッダーを見に行く? 桜を見る会からシュレッダーを見る会? ウン、これ余談なるけど(以下略)」(12月28日)
まさに居酒屋でクダを巻いている保守オヤジそのもの(というか、本当に酒を飲んで喋ってるのだろう)。「国会でせんとちゃうとこでして」って、野党の国会審議要請を拒否してるのは与党なんですけど……。あらかじめ言っておけばよかったが、だらだらだらだらとクソつまらないので、視聴する価値などない。ある意味、このトーク力のなさは2000年代にメッキリ売れなくなった頃のほんこんと同じである。
まあ、それはともかくとして、だ。
ほんこん本人は「安倍御用芸人」とか「ネトウヨ芸人」とか言われるのがイヤらしい。数日前にもTwitterで、一般ユーザーが「完全にウヨ芸人まっしぐら」などと指摘するツイートを見つけて、自分から〈何をもってウヨ芸人なのか?私はただ日本が好きなだけ 貴方様は嫌いなのですか?〉などと噛み付いておいて最終的にブロックしてしまったことが、ネット上でちょっとした話題になっていた。
しかし、最近のほんこんの発言をあらためてチェックすると、やっぱり「ネトウヨ芸人」と言われても仕方がない、というか、ネトウヨに大向こう受けする発言を繰り返し、自分で「保守」をウリにしているのが現実だ。
たとえば、ほんこんは最近、あの極右雑誌「正論」(産経新聞社)2020年1月号の対談に登場。相手は『ニュース女子』(DHCテレビ)の沖縄ヘイトデマ回の“主犯”で知られる自称・ジャーナリストの井上和彦氏だ。「桜を見る会とか追及してる場合ちゃうで」なるタイトルで、ほんこんはこんな発言を連発していた。
「安倍政権では民主主義が危ぶまれるとか言いますけど、ほんなら共産主義とか社会主義の国の人権のこと言うてみいと」
「(あいちトリエンナーレの「表現の不自由展」は)あれ、自分らのお金でやったらええのに、公金じゃないですか。メディアも慰安婦像の所だけ切り取るけど、天皇陛下の写真焼いたらあかんでしょ」
「慰安婦の問題も、軍の関与はないけど、慰安婦は実在したから、色々言われても我慢してきたんですが、レーダー照射問題でぶち切れましたね」
「常に戦争はやってはいけないと思いますけど、戦争が起きた場合の事を考えて何が悪いんでしょうか。野党のみなさんは、そう言うんやったら、自分の家の施錠もすんなよ、警備もおくなよと言いたいですわ」
既視感のあるイチャモンばっかり……。ようは、有象無象のネトウヨが言っていることをさらに希釈して喋っているだけなので、いちいちつっこむ気にもなれないが(いちおう一つだけ正しておくと、慰安婦問題への軍関与は公的な史料で証明されている)、いずれにしてもこの薄っぺらさ。「ネトウヨ芸人」と呼ばれても仕方ないだろう。
ほんこんのオリジナリティのなさ、「ゆる〜い独裁国家がいい」も小藪千豊のパクリ
そんなほんこんは今年、ちゃっかり本まで出している。『日本のミカタ ボク、この国のことを愛しているだけやで!』(ワニブックス)なる新書だ。最後まで読んだ上で言うが、これまた中身がスカスカすぎて論評する気も失せる。
たとえば、ほんこんは〈別に過激でもなんでもないし、当たり前なこと言うてるだけ。ただ、誰も「おかしいことをおかしい」と言わないせいか、ボクのこうした発言がネットやSNSで注目されて、ボクのことを「ネトウヨだ」「安倍シンパだ」と攻撃する人も増えてきました〉などと被害者ヅラし、〈ネトウヨが、芸名で「ほんこん」なんて外国の地名、名乗るかい! 本当にネトウヨなら「せんかく」とか「えとろふ」にでも改名するわって話や(笑)〉などと書いている。
(笑)って、いや、死ぬほどサムいが、さらに読み進めていくと、その無自覚な“ネトウヨ的薄っぺらさ”に本気の寒さを覚えること必至だ。
〈でも、ま、「保守」なら「保守」でいいのかなと思いますけどね。だって、この国に住んでんねんから!
それが違うという人らは、何らかの理由でこの国を貶めようと思ってる方々なんでしょうか。もしかしたら、戦後の自虐史観をすり込まれた可哀そうな人たちかもしれないですけど、やってることは結果的に他国を利することばかりでしょ。〉(『日本のミカタ』)
あえて、ほんこんの特徴をあげるとすれば、こうした言論の“オリジナリティのなさ”かもしれない。たとえば〈あくまでも民主主義ではあるんですけど、ある程度強引なこともしなければ国を動かすのは難しいので、ゆる〜い独裁国家がいいなと個人的には思っています〉などと書いているのだが、コレ、同じ吉本の小籔千豊がテレビ番組で「僕はライト独裁(がいい)」「民主主義独裁です」などと主張していたものとほぼ同じ話(参考https://lite-ra.com/2015/10/post-1578.html)。まったく、なんだかなーって感じである。
もうひとつの特徴は、すでに読者諸賢もお気づきだろう。とにかく議論が雑であることだ。本人は「安倍応援団」であることも否定するが、リベラル系の野党を叩き、現政権を擁護するのが基本路線。とりわけ、安倍首相を褒めるときの表現の雑さは笑えるレベルである。
〈ふたりが仲良くする、あの絵がすごい効果を生んでるんですよ。ふたありで一緒にゴルフをやってる、一緒に食事をしてる、一緒に護衛艦「かが」に乗ってる……これが全部、世界へのメッセージ。つまり、中国、ロシア、北朝鮮に対する抑止力になるんです。〉(『日本のミカタ』)
ところが、こうした雑さが、かえってネトウヨに受けているらしい。ほんこんがネトウヨや極右界隈で注目され始めたのは、著書のタイトルにもサンプリングされている関西ローカル番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)への出演からだ。この番組でほんこんは、韓国や北朝鮮批判、野党バッシングなどを繰り返してきた。そのたびにSNSでは、ネトウヨたちが「ほんこんよく言った」「ほんこん無双!」などと快哉を叫んでいるという始末である。
安倍応援団になれば、売れない芸人でもコメンテーターとして起用される状況
しかし、ほんこんは、今のようにネトウヨばりの極論を振りかざす芸人ではなかった。というか、政治や社会問題に言及するようなタイプですらなかった(まあ、ほんこんの論理で行けば、だからほんこんなんて芸名をつけたのだろう)。それが、なんでこうなったのか。ちょっと振り返ってみれば自ずと見えてくる。
もともと、1990年代に相方の板尾創路とともに人気番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』のレギュラーを務めた頃、ほんこんの芸風(唯一の持ちネタと言ってもいい)といえば、自分で「ブサイク」であるということをウリにし、周囲からイジられるというものだった。知名度は全国区レベルになり、それなりの人気も得た。
ところが、『ごっつ』が終わってからというもの、ほんこんの存在感は消えてしまった。もともとコンビで何かをすることが少なかった130Rだが、相方の板尾が“個性派俳優”としての進路を見つけ、独特の地位を築いていったのとは対照的に、せいぜい「ブサイクネタ」ぐらいしかネタがなく、トーク力もイマイチだったほんこん。有り体にいえば、お茶の間から飽きられてしまったのだろう。
そんなほんこんが、いつのまにか「保守系」の主張を雑にぶちまけるコメンテーターとして再生し、「正論」のような極右雑誌からラブコールがかかるまでになった。まさしく“ネトウヨ文化人”として復活したケント・ギルバートを彷彿とさせるパターンである(参考
https://lite-ra.com/2015/12/post-1761.html)。
つまるところ、「ネトウヨ言論人」や「安倍応援団」というのは、フェイドアウトしかけた芸能人や文化人が復帰するのにお誂え向きの舞台なのだろう。それは、彼らの議論の雑さや言論の質の低さからもわかる。民主党政権が倒れ、安倍政権が権勢を振るうなか、反権力的なリベラルよりも政府に睨まれない保守系のほうが、メディア側は扱いやすい。政権から陰に陽に圧力を受け続けているテレビ局ならなおさらだ。
そうした連中は一様に「国を愛する気持ちを語って何が悪い」とか「自分はリベラル派とは違って空気を読まない」とか「誰にも忖度せずに正論を言っているだけ」などと嘯く。なにか「タブー」を打ち破っているかのような話だが、実際にはまったくの逆だ。
第二次安倍政権以降、強力すぎる安倍政権を援護し、野党を適当に叩きさえすれば、簡単に「勝ち馬」に乗れる。メディアからも声が掛かる。どんなに議論が雑で教養がなくても、いっぱしのコメンテーター扱いされ、論壇誌に呼ばれたり、本だって出せてしまう。そうした状況が「安倍応援団」と呼ばれる文化人やコメンテーターを急増させているのだ。
「愛国心とはならず者たちの最後の逃げ場である」という警句がある。だが、「ネトウヨ文化人」たちに文学的な言葉はふさわしくない。連中はもっと単純だ。「愛国」とはビジネスである。「保守」とはお追従である。「正論」とは安倍晋三賛歌である。いいかげんにしろ。
(宮島みつや)
最終更新:2019.12.29 05:46
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